協調融資:Bローン
Bローンの枠組みを通じて調達した資金を含む融資を行う場合、IFCは融資全体の一部を自己勘定から拠出し(Aローン)、残りの参加権を他の金融機関に売却します(Bローン)。借入人はIFCとのみ融資契約を締結し、IFCはその他の参加金融機関と参加契約を結びます。借入人に対してはIFCが契約上、単独の貸付人となります。しかし、名義上の貸付人はIFCですが、他の金融機関の存在は借入人にも認知され、様々な取引記録や公開情報にも表示されます。
A/Bローンの枠組みを利用すると、参加金融機関はIFCの国際開発金融機関としての地位から得られる恩恵を享受することができます。元本、利息、手数料といったすべての支払いに関し、 IFCの「優先債権者としての地位」が適用されます。また、IFCはAローンとBローンへの支払いを比例配分で行います。そのため、すべての参加金融機関への支払いが全額完了するまで、IFCも全額を受領することはありません。同様に、他の金融機関への債務不履行が発生した場合、IFCに対しても債務不履行が発生します。
参加金融機関の利点
o IFCの「優先債権者としての地位」を共有することができ、外貨送金・交換リスクが抑えられます。
o 世界から評価を受けるIFCのリスク管理体制による恩恵が得られます。
o 世界銀行グループを通じたIFCと各国政府との関係から恩恵を受ける可能性があります。
o IFCのストラクチャリングやリストラクチャリングのスキルによる恩恵が得られます。
o IFCの環境・社会面におけるリーダー的立場からの恩恵が得られます。
o Bローンへの参加を通じ、新規顧客や各国との関係構築が図れる可能性があります。
借入人の利点
o Bローンで融資パッケージを完成させることができます。
o 通常よりも返済期限の長い融資が受けられます。
o IFCからの融資は全額が源泉課税を免除されます。
o A/Bローンの枠組みでは、名義上の貸付人がIFC単独であるため、手続や文書化が簡便化されます。
o Bローンのシンジケーションを通じ、金融機関との新たな取引が生まれる可能性があります。
協調融資運用ポートフォリオ・プログラム(MCPP)
協調融資運用ポートフォリオ・プログラム(MCPP)とは、新興国市場の民間セクターに対する様々な融資を組み合わせたポートフォリオを提供する、画期的なシンジケーション・プラットフォームです。MCPPは、投資家からのこうした資産クラスへの投資比率の向上、あるいは初めての投資を促します。
MCPPプラットフォームは、IFCが持つ融資機会の組成力と新興国市場に関する豊富な知識を活用し、IFCと同条件での協調融資を行う機会を、投資家に対して提供するものです。MCPPによりIFCは自己勘定で行うよりも規模の大きい融資パッケージを提供することが可能となり、開発目標を達成するための資金を増加させることができます。2018年時点、MCPPは8つの国際的な機関投資家より70億ドルの資金を調達しました。
MCPPの仕組み
MCPPはインデックス・ファンドと類似の性格を持っており、IFC自己勘定投資を反映したローン・ポートフォリオを、投資家のために構築します。MCPPの投資家とIFCは、一定の条件に合致するポートフォリオ構築に関して、あらかじめ管理契約を締結します。投資家は融資総枠をあらかじめ設定し、IFCが条件に合致する融資案件を検討する際に、契約条件に基づいてMCPPからの配分額が決定されます。投資家のタイプに応じて、このプログラムは様々な枠組みを提供することが可能です。
o 特定の投資家専用の信託基金を設けることができます。借入人との融資契約に際しては、IFCは自己勘定から融資を行う一方で、信託基金の「受託者」として投資家の為に契約締結を行います。
o 投資家は投資ビークルを設置し、案件組成に関してIFCと契約を結ぶことができます。この場合、IFCが自己勘定から融資を行う一方で、投資家はBローンを通じて参加することができます。
o IFCに信用保険やリスク保証を提供するアンファンデッド・ストラクチャーが利用できます。IFCによる自己勘定融資に対して、投資家が部分保証を行います。
プロジェクトの評価、承認、契約、モニタリングの権限はIFCに委任されます。IFCが持つ現地顧客や市場環境に対する知識に加え、その案件組成力と確かな実績により、投資家が途上国における有望な投資機会を確保するためのサポートを行います。いずれの投資先に対してもIFCが自己勘定から一定額を拠出することから、IFCの決定は投資家の利益に沿ったものであることが担保されます。MCPPの枠組みのこのような側面が、その成功に寄与しています。